サイト公開 2周年プレゼントキャンペーン 第2弾

ニードルピンが外せない Part.15

目次

ナイキ エア ズーム ビクトリー 2のニードルピンが外せない。

下記の写真が添付されて、取り外し依頼がありました。

依頼内容

「スパイクのニードルピンが一本取れなくなってしまい、ピンの抜き取りをご依頼したいです。」

ピンの種類を確認したところ、スパイクの購入時についていたニードルピンが外れなくなってしまったとのことでした。

送られてきた写真

スパイクが届いて、勢いよく潤滑剤を吹き付け、ネジザウルスで一気に回した瞬間…まさかの「ポキッ」。ピンが無惨にも折れてしまいました。回している途中から、確かに嫌な予感はあったんです。けれど、その不安を振り切るように力を込めた瞬間、悪い予感は現実に。少し油断していました。おそらく材質はアルミ製。強度が低く、とても柔らかいからこそ、もっと慎重に扱うべきでした。

ピンが折れた

今回は、折れてしまったピンをどうにか外すため、ドリルで穴を開け、そこにエキストラクターを差し込んで取り外す作業に挑みます。材質がアルミ製であれば、ドリル加工は比較的スムーズ。しかし、問題はその下にあるエア。ここに傷をつけてしまえばスパイク自体が致命傷を負うことになります。だからこそ、穴あけはわずか3〜4㎜の深さにとどめ、神経を研ぎ澄ませて進めるしかありません。

【⚠注意】アルミ製ピンなら加工は可能ですが、鉄製ピンは別物です。強度が高く、ドリルでの穴あけは極めて困難。当社でも実際にアシックス製の鉄ピンで加工を断念し、取り外しに大変苦労した事例があります。無理な作業はかえってリスクを高めるため、状況に応じた判断が必要です。

まずはピンにドリルで穴あけしやすいようにヤスリで折れた個所を平らにしていきます。

折れた個所を平らにしました

ドリルでの穴あけ作業は、とにかく慎重さが命です。まずはφ1.5㎜の細いドリルで下穴を開け、確実に芯を捉えます。そこから段階を踏んで、φ2.0㎜、さらにφ2.5㎜へとサイズを上げていく。無理に一気に広げようとすれば、ドリルがブレてピンを傷めたり、最悪スパイク本体にダメージを与える危険もある。だからこそ、一手一手、神経を研ぎ澄ましながら、正確に掘り進めていきます。

φ1.5㎜での加工
φ2.5㎜での加工
φ2.5㎜での加工後の状態

φ2.5㎜までの穴あけが終わったら、いよいよエキストラクターの出番です。エキストラクターとは、折れ込んだネジやピンを逆ねじの力で食い込み、取り外すための専用工具。穴に差し込むと、その特殊なねじ山がしっかりと噛みつき、固着したピンを力強く引き抜くことができます。
手順はシンプル。まず、あけた穴にエキストラクターを差し込み、ハンマーで軽く打ち込んで固定。そしてゆっくりと逆回転させていくと、今までびくともしなかったピンが、ついに外れていきます。まさに最後の切り札ともいえる工具です。

エキストラクターを取り付けて回した

エキストラクターがガッチリと食い込み、ついにピンの取り外しに成功しました!しかしその代償として、エキストラクターはピンに深く噛みついたまま。想像以上の食いつきで、今度はエキストラクター自体を外すのに一苦労しました。最後はペンチを使い、力任せにこじってようやく引きはがすことができました。

エキストラクターに食い込んだピン

ピンを取り外した後は、仕上げとしてスパイクのお掃除に入ります。まずは作業中に出た細かな切子をしっかり払い落とし、その後でネジ部の状態を丁寧にチェック。確認したところ、4か所とも問題なし。傷や歪みも見られなかったため、今回は清掃のみで作業完了としました。最後にスパイクを手に取り、ようやく一連の工程が無事終わったことを実感しました。

清掃後のスパイク

余談

今回はピンが折れて本当にヒヤッとしました。特にNikeのエア搭載スパイクは、ドリル加工でエアをパンクさせてしまう危険があり、これまで作業中に実際にパンクさせてしまった経験もあります。だから今回は通常より時間をかけ、細心の注意を払って慎重に作業を進めました。それでもピンを折ってしまったのは、慣れと慢心が招いたミスだと深く反省しています。お客様の大切なスパイクを預かる立場として、初心を忘れず、以後はもっと丁寧で慎重な作業を徹底してまいります。

ニードルピンが取れない場合は

なかなか取れないピンを外す場合は、下記を参照ください。それでも取れない場合は、お問い合わせからご連絡いただければ、スパイクの状態を聞いて取り外しの可能性をご連絡させて頂き、当社で取り外し作業を行うことも可能です。

あわせて読みたい
ニードルピンが取れない場合 ニードルピンが取れないときの対処方法 スパイクのピンが外れないと、ヒヤッとしますよね。ここではピンが外せないときの取り外し方法をご紹介します。この方法で外せな...

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
目次